痛快さを抱かせる安部裕葵。日本にもこんなに面白い19歳がいる (2ページ目)

  • 杉山茂樹●取材・文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 年代別の日本代表チームに、毎度選出されてきたエリートではない。まず、そこに疑問を覚える。なぜ見落としてしまったのか。選ぶ側の目を思わず怪しみたくなる。

アジアU-19選手権での活躍が期待される安部裕葵アジアU-19選手権での活躍が期待される安部裕葵 安部は、人の目を惹きつけるインパクトのあるプレーをする。

 新人だった昨季、すでにJ1リーグで13試合出場していたが、先発は1試合のみ。とはいえ、鹿島は優勝争いを展開していたチームで、選手層も厚い。高卒ルーキーが激しいスタメン争いの間隙を縫うように、13試合に出場することは普通の話ではない。

 ただ者ではないことはプレーを見れば、直ちに明らかになった。だが、繰り返すが、彼はそれまで協会から特段、評価されてこなかった選手だ。そうした意味で、痛快さを抱かせる選手なのである。

 プレーも痛快だ。身長171cm、体重65kg。いい意味で、軽い牛若丸的小兵だ。何より反応がいい。プレーのアイデアがいい。巧緻性にも優れている。見ていて楽しいアタッカーだ。日本サッカーが「柔よく剛を制する」をコンセプトに掲げるならば、外せない選手になる。

 今季はこれまでJ1リーグに19試合出場。うち先発は12試合を数える。最近は、ほとんどがスタメンだ。大一番となった先日のJ1第29節(10月7日)vs川崎フロンターレ、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦(10月3日)vs水原三星(韓国)も例外ではない。しっかり先発を任されている。

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