「バックアッパー」とはおさらば。
急激成長で遠藤航の渡欧は吉と出た

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 なにより大きいのは、チームでボランチとして出場できていることだろう。センターバックとしてはサイズが足りず、サイドバックとしてはスピードが不足する。このボランチのポジションこそが、遠藤にとっての適材適所である。

「そんなに長くやっているわけではないですけど、自分のなかでは少し自信を持ってプレーできるようになってきている。普段やっていないポジションからボランチに入るのと、チームでボランチをやっていて、代表でも同じポジションでできるのは自分でも大きい」

 チームと同じポジションでプレーできていることは、メンタル面にも好影響を与えているようだ。

「たとえば、間で受けたときにプレッシャーがきても、ターンして前につけたりできているし、縦に入れる勇気や、剥がしてドリブルでもっていく勇気にもつながっていると思いますね。それはメンタル的な要素が大きいと思っていて、自分のなかでは意識しているし、成長している部分だと思います」

 継続的にボランチでプレーすることによるメンタル的な余裕が、プレーの幅を広げているというのだ。

 後半には、自らのボール奪取からそのまま持ち上がり、酒井にパスを通して大迫の決定機の起点にもなった。

「前の自分だったら、奪ったあとに簡単にはたいておしまい、みたいなプレーをしていたと思うんですけど、向こう(ベルギー)に行って、シンプルにやるところと、運んでチャンスメイクするところの判断は意識している」

 コスタリカ戦ではともにピッチに立ち、ウルグアイ戦でも後半途中からボランチコンビを組んだ青山敏弘(サンフレッチェ広島)も、遠藤の成長を実感するひとりだ。

「ベルギーでは、個の力でどれだけ剥がせるか、と言っていた。自分で剥がさないといけないという意識にプラスして、代表では周りのサポートもある。自分で行くところと、周りとの連動の部分の使い分けがうまくなったし、レベルが高くなってきたなと感じる」

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