中島翔哉が1年で激変した理由。社長直談判で実現したポルトガル移籍 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 特筆すべきは、わずかにマークを外すだけで鋭いパスをシューターに預けたり、自らシュートを狙い撃てたりする点だろう。前半10分の先制点のシーン、中島はエリア内でマーカーを背負った南野の足もとに球足の速いパスを入れている。これを南野は反転するトラップでシュートに結びつけたが、中島のパスには「前を向け」というメッセージが明確にあった。

 さらに36分には、堂安律からのパスを受けると、狙い澄ましたミドルシュートでGKを狼狽させている。そのこぼれを大迫勇也(ブレーメン)が流し込んだ。

「1対1で止められない、ボールを失わない、なにかを起こす予感がある」

 そんな姿をチーム全体に伝えることで、周りの選手もパスを渡せるし、信じて動き出せるのだ。

 後半序盤、チームが押し込まれる展開でも、中島は存在感を見せた。左サイドを軸に攻め返し、後半はチーム最多の3本のシュートを放って挽回。悪い連鎖を断ち切った。

「男子三日会わざれば刮目して見よ」という故事がある。短期間のうちに図太く、逞しい選手に成長している。

 FC東京時代の中島は、技術の改善に熱心で「誰よりもボールを触っている」と言われる"巧い"選手ではあった。しかし一方で、ナイーブで淡泊な一面も抱えていた。巧さを十分に使い切れず、試合の流れから消えてしまう。周りとのコンビネーションが合わず、独善的な傾向が強くなる。いわゆる、"惜しい"選手だった。

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