パナマ戦から読み解くウルグアイ戦の森保ジャパンの先発メンバー

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Fujita Masato

 そして、青山の縦パスと冨安のフィードを生かす要因のひとつとなっていたのが、両ウイングの原口と伊東のポジショニングにあった。

 4-4-2の陣形をキープするパナマに対して、相手のサイドバックとセンターバックの間にある中間ポジション(ハーフスペース)に立つことで、最前線の大迫と、フィールド中央を自由に動きまわる南野とあわせ、多くのパスコースが作られていたのだ。その結果、もともと強固ではなかったパナマが敷く4-4-2のブロックは形無しとなっていた。

 もっとも、パスそのものの精度の低さと、パスを受ける選手のミスも重なったため、それほど多くのチャンスが作れたわけではなかった。実際、前半のシュートは南野のゴールも含めてわずか3本を記録したにすぎなかった。

 ただ、その成功率は別として、両ウイングがとった中央寄りのポジショニングについては、明らかに意図していたものだと思われる。

 布陣は4-2-3-1ではあるが、これは森保監督のトレードマークである3-4-2-1の2シャドーに求められる役割と共通するものであり、ボール保持型のチームによく見られるプレーモデルでもある。そういう意味では、9月のコスタリカ戦の前半に見せた縦に蹴り込むスタイルは、あくまでも相手のプレッシャーを回避するための安全策だったことが、あらためて証明されたとも言えるだろう。

 パスをしっかりつないで、ボールを保持しながらゴールを目指す。それは、パナマが青山にプレッシャーをかけるように修正を施した後半も、大きく変わっていない。

 縦パスを入れる役目は青山から三竿健斗に移ったものの、ビルドアップ時に両ウイングが中間ポジションに立つ場面は多く、さらに相手の足が止まったことでサイドバックの位置取りは前半よりも高くなった。とくに室屋が攻撃に絡むシーンが一気に増えたことで、前半は攻撃面で存在感がなかった伊東も、室屋との絡みによって次第に息を吹き返すという相乗効果も見受けられた。

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