代表初招集も出番なし。伊藤達哉にはJリーグ未経験者特有の悩みがある (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「移動が続いて、ちょっとだけ身体が言うことをきかないというか、コンディションが100パーセントじゃないというのはありました。次からどうやって準備しようというのはあります。コンディション調整は簡単じゃないです。慣れてないというのもあると思うんですけど、今後の課題だと思います。今後も海外でプレーしていくんだったら向き合っていかないといけないことなので、いろいろ考えないといけないなと思います」

 海外組の選手たちは、海外でプレーすることのメリットに「サッカーや自分自身と向き合う時間が長い」ことをあげる。友人、知人がいつも近くにいるわけではなく、自然とひとりの時間が増える。日本にいたら断りきれないような付き合いの類は激減し、いやがおうでも自分と向き合わざるを得なくなるのだ。

 高校3年の夏にハンブルクのU-19に飛び込んだ伊藤は、孤独に打ち勝ちながら自分と対話する方法を自然と身につけているのだろう。試合に向けた集中の仕方、コンディションの上げ方も自分のスタイルを確立しているに違いない。そうでなければ、ブンデスで主力を張る選手にはなれない。

 ただ、その方法が確立されていればいるほど、条件や環境が整わないときに「いつもと違う」という違和感を覚えてしまうこともあるのではないか。いつものような調整ができないと対応ができない。「慣れてないというのもあると思う......」というのは、そういうことだろう。今後、伊藤が代表に定着するために必要なのは、多少の悪条件でもやりきってしまう「力強さ」なのかもしれない。

 もっとも、プレーそのものには自信がある。

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