代表初招集も出番なし。伊藤達哉には
Jリーグ未経験者特有の悩みがある

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 西村尚己/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 新戦力たちがきら星のごとく輝く活躍を見せた森保ジャパン初陣。期待の伊藤達哉(ハンブルガー)は出場機会なしに終わった。コスタリカ戦が終わり、「初代表はどうだった?」と、フワッとした質問を投げかけると、「うーん」と唸った後、言葉をひねり出した。

「ひと言でまとめると、悔しかった代表ですね。試合に出たかったですし、ドイツに帰って毎日アピールして、また戻ってこられるように、また選ばれるように頑張りたいです」

 チャンスを掴んだ仲間がいるなかで、自分はそうではなかった。そんな事実を噛みしめているようだった。

Jリーグ未経験で日本代表に初招集された伊藤達哉(ハンブルガー)Jリーグ未経験で日本代表に初招集された伊藤達哉(ハンブルガー) 伊藤は代表に呼ばれると、かわいそうになるほど何かしら不運に見舞われる。

 昨年、U-21代表のパラグアイ遠征メンバーに招集されたときは、ロストバゲッジにあい、現地調達でまかなった。ドイツとパラグアイの気温差は、日本とパラグアイのそれよりも激しく、日本から遠征に参加した他の代表選手たちとコンディションが一致しなかったのも不運だった。

 今回の代表招集でもアクシデントに見舞われている。ハンブルクから日本へと旅立つ前日は、アウェーでドレスデンとの公式戦が予定されていた。ところがバスに揺られること5時間、現地に着いてみると「警備の警官の人数が不足している」という理由で試合が中止に。施設や環境の整わない下部リーグなどとは違い、2部の試合がそんな理由で中止になることなどめったにない。

 とんぼ返りで再び5時間をかけてハンブルクに戻り、伊藤は日本への帰路についた。1日10時間をバスで過ごしたダメージは意外に大きく、帰国してからもコンディションが上がりきらなかったという。

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