初陣勝利も森保監督の過大評価は禁物。コスタリカ戦を冷静に細かく分析 (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 とはいえ、これらは日本が自ら何かを修正して起こった変化というよりも、あくまでも相手の問題だと考えたほうが妥当だ。終了間際に伊東純也(柏レイソル)が決めた代表初ゴールも含め、そういった試合状況を加味したうえで、客観的に評価する必要がある。

 そういう意味では、この試合で高い評価を得た遠藤、堂安、南野についても、前半のパフォーマンスを基準にした方が論理的だ。この試合のMVP的活躍を見せた中島も、ベストメンバーの中に混じって欧州や南米のトップレベルのチームと対戦したわけではないので、太鼓判を押すわけにはいかない。

 それは森保采配についても同じだ。今回は準備時間が短かったので細部までは詰められなかったとは思うが、もし前半のような「中盤を省いて縦に蹴るサッカー」を目指していないのであれば、あの段階で選手に指示を出して何らかの修正を施す必要はあったはず。

 選手のアドリブ任せでチームづくりを行なうなら、「選手が持っている能力以上のものを引き出すこと」を求められる監督の存在価値はない。会見で何度か口にした「良い経験をさせていただいている」という意識だけで、日本のトップオブトップである代表監督を務めてもらっては困るのだ。

 もろ手を挙げて喜ぶのは時期尚早。10月の2試合で森保監督がどの布陣を採用し、コスタリカ戦で活躍した選手が同じようなパフォーマンスを見せられるかどうかに注視する必要がある。とりわけ10月16日に予定されているウルグアイ戦が、森保ジャパンの本当の試金石となりそうだ。

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