初陣勝利も森保監督の過大評価は禁物。コスタリカ戦を冷静に細かく分析 (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 1-0で迎えた後半は、開始からコスタリカが3人を入れ替えたので、典型的な親善試合の様相を呈した。従って、森保ジャパンの評価をするうえではほとんど参考外となってしまったことは否めない。

 コスタリカとしては、勝敗よりも今後につなげるテストを目的としていたためであり、逆にホームの日本は、「森保監督の初陣」を勝利で飾りたいという目的があったため、選手交代は68分まで行なっていない。両チームの試合に臨む目的が、後半の試合内容と最終スコアに大きく影響したと受け止められる理由である。

 しかも、後半のコスタリカは67分までに6人の交代枠を使い切り、2-0とされた直後の6人目の選手交代の後は布陣を4-4-2に変更。選手が大幅に代わり、さらにテストを兼ねた不慣れな4バックにしたことで、日本にとっては勝利を目指しやすい舞台が整ったというわけだ。

 コスタリカの守備網が崩れた状態が続いたことで、日本の攻撃は前半とは比較にならないほど機能した。それを象徴していたのが、両SBの位置取りが高くなったことであり、それによってパスコースが増えて中盤を省略する攻撃が激減したことだった。

 典型的だったのは、60分の堂安のシュートシーンだ。惜しくもGKの身体に当たり、DFにクリアされたその決定的チャンスは、GK東口のスローインから始まり、それを受けた佐々木から7本のパスをつないだ後に迎えたシーンだった。

 そして、66分に遠藤がルーズボールを拾ってから始まった南野のゴールも、パスアンドゴーを重ねてフィニッシュしたものであり、同じように中盤を作ってから手にしたチャンスは前半よりも圧倒的に増加している。

 また、佐々木と室屋の位置が高くなったことで、両サイドの攻防においても日本は優位に立ち、佐々木と中島、室屋と堂安のコンビネーションも大きく改善した。73分に室屋が相手ボックス内深いエリアまで走り込んでクロスを試みたシーンは、後半における日本のサイドでの優位性を証明するものだったと言えるだろう。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る