武器は「何をするのかわからない」。
堂安律がヒデや本田の系譜を継ぐ

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 試合前、堂安はオランダでの経験が「大きな成長につながっている」と言及した。

「以前は、自分がゲームを作る意識が強くて、ビルドアップにも積極的に参加してプレーしていたんですけど、今はそのマインドが変わりました。ボールを持ったら、目の前の(相手)選手をぶち抜くか、シュートを打つか、という選択肢になっているんです。

(ガンバ時代の同僚)GKのヒガシくん(東口順昭)と久しぶりに話をしたときも、『おまえのように、めちゃくちゃシュートを打ってくる選手はJリーグにはいない』って言われたんですけど、その意識を日本(の試合)でもしっかり出していきたいですね」

 海外では、結果がすべて――。

 それを肌で感じた堂安は、迷いがなくなり、よりFWに近いところにポジションを取って、積極的に仕掛け、シュートを打ち、果敢にゴールを狙う選手になった。少なくとも、ゲームメイクという役割を主にこなしていた昨年5月、U-20W杯(韓国)で活躍していた頃の堂安ではなくなっていた。

 コスタリカ戦は初の代表の試合で緊張し、序盤は守備から入るなど、いつもよりも慎重な姿勢を取っていた。だが、時間が経つにつれ、硬さが取れるとプレーに鋭さが増した。特に後半は、相手サイドにスペースができて、自らのプレーを存分に発揮し始めると、俄然輝いた。

 後半13分には、左サイドのMF中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)からのパスを、FW小林悠(川崎フロンターレ)がペナルティーボックス付近で受けて最終ラインの裏にスルーパス。それに反応した堂安が、左足で浮き球のシュートを放った。

 惜しくもシュートはGKに当たって、ゴール寸前で相手DFにクリアされたが、絶妙のタイミングで敵DFの背後に侵入した完璧なシュートシーンだった。

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