「3バックアレルギー」がある日本代表。森保スタイルは浸透するか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 となると、当然、日本代表(A代表)にも3-4-2-1の導入が図られるのだろう。そうでなければ、ひとりの監督が両代表を兼任する意味がない。

 では、日本代表に先駆けて活動がスタートし、すでにいくつかの国際大会に出場している五輪代表での、3バックの浸透具合はどれほどのものなのか。

 今年1月のアジアU-23選手権ではベスト8に終わったものの、先ごろ行なわれたアジア大会では準優勝。結果だけを見れば、悪くない成果を残しており、選手それぞれの成長も感じられる。

 しかし、組織的、戦術的な視点で内容を振り返れば、まだまだ心もとない試合が続いている。

 3バックのビルドアップはポジショニングが中央に偏りがちで、相手の布陣を左右に広げることができない。そのため、ボランチがボールをもらっても、効果的な縦パスを入れられない。前線の1トップ2シャードが前を向いてボールを持ち、コンビネーションを作り出すような形には至らず、高い位置にボールが収まらないため、左右のアウトサイドMFも高いポジションを取り切れない。

 結果、森保監督が率いた当時の広島で見られたような、最終ラインからテンポよくボールを動かし、相手のプレスをかいくぐり、生まれたスペースへ次々に選手が飛び出していくような分厚い攻撃は、ほとんどお目にかかれない。

 また、守備においても、3バックに後ろを固める意識が強すぎるのか、全体が間延び、あるいは後退してしまい、相手が強くなるほど、ボールへ寄せられないシーンが増える。これでは、相手に労せずしてゴール前にボールを運ばれてしまい、ペナルティーエリア付近でのピンチを増やすばかりだ。

 正直、どれだけフォーメーションの特性が生かされているかと聞かれれば、首をひねらざるをえないのが現状だ。

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