代表初招集の小兵の魅力。166cm
伊藤達哉はドイツの巨漢DFを翻弄する

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 今後、フレキシブルにプレーの幅を広げていくのか、それとも自分のスペシャリティを磨くのか。揉まれるなかでスタイルは確立されていくのだろう。

 2015年の夏、高校3年生のときにハンブルガーのU-19に移籍、卒業を待たずにドイツへ渡る。膝に故障を抱えて苦しんだ時期も長かったが、それも克服した。翌シーズンには順調にツヴァイテ(U-23)に上がり、29試合に出場した。

 トップチームデビューは2017-18シーズン第6節のレバークーゼン戦。初先発した第7節ブレーメン戦では引き分け、チームの4連敗を食い止めた。この試合では、わずか53分で退いたものの、そのフレッシュなプレーに、大観衆はスタンディングオベーションを送った。

 その後も途中交代や途中出場が続き、フル出場できるようになったのはこのシーズンの終盤になってからだった。そのため、チームメイトで当時キャプテンだった酒井高徳が「チームを助けるには、もっと長い時間プレーしてくれないと」とメディアの前でコメントし、炎上したこともあった。酒井と伊藤は公私ともに仲がよく、おそらくこの程度のアドバイスはふだんからしていたはずだが、それがドイツメディアで騒動になるぐらい、伊藤には注目が集まっていたのだ。

 その後、伊藤のツヴァイテ時代の恩師であるクリスティアン・ティッツがトップチームの監督に就任。第28節以降はレギュラーに固定され、着々と実戦経験を積んでいった。だがこのシーズン、残念なことにハンブルガーは史上初めて2部降格の憂き目に遭う。伊藤は酒井とともにチームに残留し、今季は2部でプレー。ティッツ監督とともに、1年での1部復帰を目指しているところだ。

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