阿吽の呼吸で攻撃を活性化。韋駄天トリオはU-21森保Jの生命線だ (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 しかし、3試合を経験した今は、それぞれの役割が整理されてきた。たとえば、サウジアラビア戦後半の攻撃のメカニズムについて、岩崎が説明する。

「大然くんが背後を狙い続けてくれていたので、相手のラインも警戒して低くなっていたと思う。そこで(三好)康児くんだったり、怜央くんだったり、僕もそうですけど、(相手のディフェンスラインと中盤の)間でうまくターンしながら使い分けて、いい攻撃ができたんじゃないかと思います」

 前田が相手の最終ラインを押し下げることで、バイタルエリアにスペースが生まれるわけだ。

 背後を狙うのは、前田に限ったわけではない。裏を狙うときと間で受けるときの割合は、前田が「裏8・間2」、岩崎が「裏5・間5」、旗手が「裏3・間7」くらいだろうか。それぞれが自身と相手の役割と長所を把握し、活かし、生かされる関係を築いているのだ。

 とりわけ前田の存在は、攻撃に幅をもたらしている。

 チームは攻撃を組み立てる際、GKからパスをつなぐことをファーストチョイスにしているが、目的はつなぐことではなく、安全にハーフウェーラインを越して攻め込むことにある。ロングボールが禁止されているわけではなく、むしろ、ロングボールを織り交ぜて相手を揺さぶり、相手に圧力をかけられてもロングボールでかわせばいい。

 そのメリハリについて自信をのぞかせたのは、DF板倉滉(ベガルタ仙台)だ。

「ボールを持つときは持つ、動かすときは動かす。そのなかで裏を狙う状況判断はよくなったと感じます。大然は足が速いので、その精度をもっと高めたらチャンスがもっと増えると思う」

 こうした彼らのパフォーマンスと役割を考えれば、森保監督がここまで彼らを重用してきたことに疑問はない。

 もっとも、それに納得できないのは、FW上田綺世(法政大)とMF三好康児(北海道コンサドーレ札幌)だろう。ふたりはいずれもネパール戦でスタメンだったが、前田、岩崎、旗手のトリオに先発の座を奪われてしまった。

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