2018.08.27

新生・森保ジャパンに問う。
優先するのは「スタイル」か「人材」か

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「日本らしいサッカー」とは、ロシアW杯の西野ジャパンの戦いを語るときに"キーワード"のように登場する言葉だが、長友はそのド真ん中にいた。公称170cmながら、左サイドで長友とコンビを組んだ身長169cmのMF乾貴士(ベティス/スペイン)より小さく見えたので、実際は160cm台だろう。

 この左サイドにおける"ちびっ子コンビ"――彼らこそ"日本らしさ"の象徴だった。その優秀なコンビネーションを発揮した一角に、割って入る可能性があるのが、車屋だ。

 その武器になるのが、左利きだ。長友と乾はいいコンビだったが、右利きと右利きだった。多彩さは右と右より、右と左のほうが演出しやすい。左サイドなので、左と左でも構わないが、サイドをコンビで崩そうとしたときに、車屋の左足は欠かせぬものになる。

 そして、車屋は長友より技巧的だ。相手の逆を取るセンスがある。走るスピードがどれほどなのか、実際には知らないが、相手の逆を取る瞬間は、非常に速く見える。技巧的なのだけれど、キレがある。小ささ、すばしこさで相手を幻惑する長友との違いだ。

 また、車屋は中盤的でもある。長友も周囲とショートパスを交換しながら、どちらかといえば、ヒタヒタ、ジワジワと攻め上がるタイプだが、車屋はそれ以上だ。細かいコンビネーションプレーに長けている。

 槍をイメージさせる直進的なプレーが魅力の右サイドバック、DF酒井宏樹(マルセイユ/フランス)とは対照的だ。酒井宏を"剛"とするならば、車屋は"柔"。「柔よく剛を制す」は日本スポーツのあるべき精神を述べたもので、ロシアW杯で発揮されたものだが、それを継承したいと考えるならば、車屋は起用されるべき選手になる。長友とは種類の異なる"日本らしさ"を備えている。