日本代表から離脱する時、青山敏弘の心に刺さった岡崎慎司の言葉 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

―― ワールドカップでの彼らの戦いを見て、どんなことを感じました?

青山 俺らの代表がよくやってくれた、と思いました。本当に、心から応援したし、勝ったことに心の底から喜んで......。ただ、やっぱり距離があった。一歩引いている自分がいたんですよね。それが何なのか......。今、初めて、その感情と向き合いましたけど、もしかしたら、自分はそこに向かって走るのを、とうの昔にやめてしまっていたのかもしれないなって。

―― 日本代表としてもう一度ワールドカップを戦う、ということを?

青山 うん。日本代表というものと、向き合っていなかったんだと思います。

―― でも、ヨーロッパで戦っている選手たちには、彼らの生き方や美学があって、青山選手には青山選手の生き方や美学があると思います。ふたたびサンフレッチェで走り始めた青山選手にとって、今のモチベーションは? このチームとクラブをさらによくしていくこと? それとも、ふたたび自分自身に目を向けて、もっとうまくなりたい?

青山 僕はもう、間違いなく広島から出ることはないと思うし、そのときは引退するときだと思っているから、自分のことを考えるときは、イコール広島のことを考えるということだし、広島のことを考えるということは、自分のことを考えることだと思うんです。そこは常につながっていて。

―― 一心同体というか。

青山 そう。広島と自分は一緒だと思っているので、それを貫くだけ。自分がもう一度、花咲く瞬間があるとすれば、それは広島の栄光とともにあると思うし、広島の成功なくして、自分の喜びはないと思っているから。

―― プロになって、ずっとそうでしたからね。

青山 その覚悟は今もあります。広島こそが、自分が無理する場所なのかな、と思っているので。だから、ここで、もうひと花、咲かせたいですね。

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