五輪代表からA代表への抜擢はあるか。条件を満たす選手がひとりいる (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AP/AFLO

 さらに、戦術理解度とユーティリティ性にも非凡なものがある。

 森保監督が採用する3−4−2−1への理解が深く、3バックの左に入った今大会でも、くさびの縦パスを入れて攻撃の起点となったり、ウイングバックを追い越していく動きを披露している。さらに、後半から4バックに変更したベトナム戦では左サイドバックに入り、何度も攻め上がってクロスを入れた。

 それを可能にさせているのが、左利きであることと、もともとボランチだったことだろう。

 左足の前にボールを置いて、ピッチ全体を視野に入れ、縦への持ち運びが非常にスムーズ。対角線のロングボールも蹴りやすい。FC東京U-15深川時代にはボランチだったから、バランス能力に長けていて、ゲームの流れを読む力も備えている。過去の日本代表でいうと、トルシエ時代にフラット3の左を務めた中田浩二と似ているかもしれない。

「3バックの左とウイングバック、どちらもできるのが自分の強みだと思う。持ち運んだり、縦パスを入れたり、湘南でやっていることを出したら、森保さんに『いいプレーだ』と言ってもらえたので、自信を持ってやりたいと思います」

 3月のパラグアイ遠征の際、杉岡はこんなふうに語っていた。

 昨年5月、U-20ワールドカップに出場した頃は「いきなりメンバーに入って驚いた」と言うが、東京五輪代表は「中心になっていきたいし、U-20ワールドカップのときとは違う気持ちで臨んでいます」と自覚を覗かせる。

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