課題は決定力不足。なでしこジャパン、高倉監督の狙いは見えてきたか (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 他にも、籾木結花(日テレ・ベレーザ)が初戦から連発し、中島、田中美南(日テレ・ベレーザ)もシュートを決めた。得点者を並べてみても、あらゆる角度からゴールを奪ったことがわかる。ベトナムの足が止まり、日本が思うままにボールを保持していたため、当然ではあるが、こういう形を狙っているという意図は具現化できていた。

 次々と攻撃陣がゴールを決めていくなか、2トップの一角に入っていた増矢理花(INAC神戸)は内心、複雑な想いを抱えていた。得意のドリブル突破から菅澤の先制弾と、3点目の中島のゴールを導いた。チームは得点を重ねていくが、自身にゴールは生まれない。「自分のゴールが欲しかった」と本人も振り返る。チャンスはあった。左サイドバックの高木ひかり(ノジマステラ)からの相手越しのパスを受けてターンから一気にフィニッシュ。右サイドバックの清水のオーバーラップから届いたシュートチャンスはフリーだった。それでもゴールは遠かった。

 その時が来たのは64分。菅澤から右サイドハーフの阪口萌乃(アルビレックス新潟)へ入ったボールを再び受けた菅澤がダイレクトで送った先にいたのは増矢。落ち着いて右足で決めた。日本の5点目は、チームが狙い続けていたサイド攻撃とコンビネーションから生まれたゴールだった。

 この日の増矢は、とにかくよく動いた。ボランチの隅田、中里優(日テレ・ベレーザ)らが、巧みに相手をかわしながら前線の裏を突く。DFラインの間でボールを受けたり、サイドに展開したり、もちろん得意のターン、ドリブルも繰り出した。守備面も光っていた。細かくパスをつなげば、カットからピンチを招くリスクも伴う。その際にも、前線から粘り強くコースを切り、ボランチと連係してボールを奪う場面もしばしば。高い位置で奪ったボールはそのまま味方の攻撃につながった。

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