課題は決定力不足。なでしこジャパン、
高倉監督の狙いは見えてきたか

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 アジア大会第2戦を迎えたなでしこジャパンは、ベトナムとの首位通過をかけて戦ったが、肩透かしの展開となった。

いつも以上に至るところに顔を出していた増矢理花いつも以上に至るところに顔を出していた増矢理花 ベトナムはタイに3-2と接戦で勝利しており、選手たちはその粘り強さを警戒していた。しかし、フタを開けてみれば日本が初戦から入れ替えた7名を上回り、ベトナムはタイ戦の控えに回っていた全員を起用。大幅な戦力ダウンの布陣で日本戦へ臨んできた。実力差のある日本との全力対決を避け、体力、戦力を温存し、完全にノックアウトステージ初戦突破に照準を合わせた戦い方だった。

 日本も最終ラインの清水梨紗(日テレ・ベレーザ)、三宅史織(INAC神戸)の2枚と、ボランチの隅田凜(日テレ・ベレーザ)と左サイドに入った中島依美(INAC神戸)以外を入れ替え、結果として7ゴールを奪った。

 ベトナム戦を前に、「ゲームをすべてコントロールして大量得点で勝利をおさめたい」と話していた高倉麻子監督。ほぼ狙いどおりの展開であった。7ゴールも"大量得点"に当たるだろう。しかし、決定機を外す場面は相変わらず多かった。

「ストレス溜まる展開。自分たちのプレーの精度を上げていこうと後半(メンバーとシステムを)変えてみましたが、なかなか精度が上がらなかった」(高倉監督)

 後半には3バックを試して、攻撃の枚数を増やすなど試みたが、7-0というスコアにも指揮官の表情は冴えなかった。

 それでも、叩き出した7ゴールは、それぞれ意義深いものであったといえる。早い時間の先制点は、ここのところゴールから遠ざかっていた菅澤優衣香(浦和レッズレディース)で、待ち望んでいたゴールだった。

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