ベトナムに敗れたU-21森保ジャパン。
ポゼッション重視が裏目に出た

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

 だが、ポゼッションは手段であって、目的ではない。どうも自分たちが思うようにパスをつなげていないというなら、たとえば、1トップのFW前田大然(松本山雅FC)のスピードを生かし、相手DFラインの背後にアーリークロスを放り込む時間帯があってもいい。

 守備にしても、相手ボールに寄せ切れていないというなら、リトリートして後ろで守りを固め、一度相手の勢いを削いでもいい。

 ところが、「自分たちのやり方はコレだから」というこだわりが悪い方向に働き、自ら傷口を広げてしまう。そんな展開が、年代別代表の試合を見ていると少なくない。

 もちろん、ベンチから適切な指示を送ることも必要だろう。だが、この試合がそうだったように、実際の試合のなかでは、いつ何が起こるかわからない。ピッチ上の選手が、もっと自分たちで何をすべきかを判断していかなければ、刻々と変化していく試合の状況に対処するのは難しい。

 森保監督も、「与えられるだけではなく、ピッチ内での修正能力とか、問題解決能力を養っていってもらえるように働きかけをしていかなければいけないと思う」と話しているとおりだ。

 Jリーグであろうと、大学サッカーであろうと、日本国内の試合であれば、似たタイプのチームが多く、ある意味で予定調和にゲームが進みやすい。しかし、国際試合となると、まったく異なる文化、習慣のなかで育まれたサッカーと対峙することになる。従来の常識からは起こりえない、不測の事態に遭遇する可能性は格段に高まる。

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