ベトナムに敗れたU-21森保ジャパン。ポゼッション重視が裏目に出た (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AP/AFLO

 ロシアW杯でのA代表がそうだったように、日本が世界と戦ううえで、(程度はさておき)ボールポゼッションを高めることは非常に重要だ。簡単にボールを失うことなく、できるだけ自分たちがボールを保持した状態で試合を進めたい。

 しかしながら、年代別日本代表がしばしば見せる"この手の試合"を見ていると、ポゼッション重視の意識が裏目に出ているような気がしてならないのだ。

 ベトナム戦の前半はその典型だが、相手の圧力に対し、明らかに腰が引けているにもかかわらず、パスをつながなければいけないという意識だけは捨てられない。

 結果、相手を崩すことよりも、(おそらく無自覚に)安全にパスをつなぐことを優先する。そのため、確実にボールを受けられる位置にしかポジションを取れない。はたして、前記したような"逃げのパス"が増える。せっかく効果的な縦パスが入っても、パスを受けた選手は自分で仕掛けるどころか、前を向くことを考えもせずにバックパスしてしまう、といった具合だ。

 逃げのパスが怖いのは、自分たちはセーフティーな選択をしているつもりでも、相手にとってはプレスの狙いを絞りやすい状況を作るからだ。

 もちろん、「Jリーグでもこれくらい(のプレス)はみんなやっているので、外せないとダメ。勝ち上がっていけば、もっと強いプレッシャーをかけてくるチームがあると思うし、それをはがしていかないと上にはいけない」(初瀬)のは確かだ。相手のプレスを外してパスをつなぎ、自分たちが志向するスタイルで攻撃に転じられるならベストだろう。

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