森保ジャパンにもベテランを。指揮官の懐刀、青山敏弘が必要だ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 パサータイプのボランチは、ロシアでブレイクを果たした柴崎岳が一歩リードする存在だろう。また、故障をきっかけにロシアで出場機会を得られなかった大島僚太も引き続き候補になるはずだ。ただし、両者はショートパスでリズムを作り、高い位置で違いを生み出すタイプ。どちらかといえばポゼッション型のチームでこそ、輝きを放つ選手だ。

 一方で青山は、カウンターを導くのはもちろん、大きなサイドチェンジで攻撃の幅も生み出せる。ウイングバックを置く3-4-2-1の布陣では、よりサイド攻撃が重要となるだけに、正確なフィードで両サイドを走らせることのできる青山の能力が求められる可能性は高い。

 ネックとなるのは年齢か。現在32歳で、4年後は36歳になる。同年代の本田圭佑は代表引退を発表した。ロシア大会前に「おじさんジャパン」と揶揄(やゆ)された日本代表は、世代交代が大きなテーマとなっており、青山の招集はその流れに逆行するものだろう。

 もっとも、今季の青山は32歳にしてコンディションをさらに高めている。動きのキレが増し、運動量に衰えは見られない。とりわけ守備時における対応力は、これまで以上の強さと鋭さを備えている。

 2014年のブラジルワールドカップでは、唯一の出場となったコロンビア戦で世界との差を痛感した。4年の月日が経ち、雪辱を果たすチャンスを得ながら、今回は負傷によってその機会を失った。おそらく青山には、4年後を目指すモチベーションが備わっているはずだ。ましてや、恩師ともいえる監督が率いるチームである。その指揮官は就任時にこう語っている。

「世代交代に関しては、言葉ありきではなく、この世界には競争があります。実力がある選手が生き残っていく世界。年代間の融合を図りつつ、新しい日本代表を作り上げていきたいと思っていますが、ベテラン選手を呼ばずに若い選手と入れ替えるのではなく、ベテラン選手の持っている経験を若い選手に伝えてもらいたい」

 年齢によるハンデは、培ってきた経験と揺るぎない信頼によって補われるはずだ。

(3)へつづく>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る