東京五輪世代の前田大然は、
森保監督の特殊戦術の理解に自信あり

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki, Getty Images

―― 前田選手といえば、爆発的なスピードが武器ですが、ベネズエラ戦での得点はそれを生かしたわけではなかった。1点目は縦パスを受けて右サイドにはたき、ゴール前に入っていってダイビングヘッド。2点目はスルーパスを引き出し、PKを獲得して自ら決めた。いずれもストライカーらしい、質の高い動きで奪ったゴールでした。スピードだけじゃないぞ、と。

前田 そうですね。スピードはもちろん武器ですけど、動きの質や細かい技術は今、特訓中なので(笑)。それに、今はFWも守備をしないと試合に出られない時代じゃないですか。献身的なプレーは常に心がけているので、そこをもっと見てほしいし、自分は動き回って流れを作っていくタイプなので、あのゴールは自分の形やったかな、と思います。

―― 狭いエリアでのプレーが本当にうまくなった、という印象を受けますが、動きの質やプレーの正確さはどういうふうに磨いているんですか?

前田 ひとつひとつのプレーを丁寧にやる、っていう意識を持つだけで、だいぶ変わりましたね。プロ1年目のころは、ガムシャラに、勢いだけでやっていて......まあ、今もそうなんですけど(苦笑)、1年目はそれしかなくて。でも、2年目、3年目と、ガムシャラにやるなかでも、ひとつひとつのプレーにこだわっていたら段々よくなってきて。それで水戸時代にゴールもたくさん奪えたので、自信がついてきた、という感じですね。

―― ただ一方で、森保一監督が代表チームで採用する3-4-2-1の1トップは、自由に動き回ったり、サイドに流れたりするわけにもいかないのでは?

前田 そうなんですよ。森保さんからは「1トップはサイドに流れるな」と言われていて。でも、自分の良さはどんどんサイドに流れたほうが出る。だからそこは、無視したわけじゃないですけど、どういう動きをすればゴールを奪えるかを考えて臨機応変にやりました。

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