広島ではこうだった。森保一監督が「一貫して選手に求めるもの」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 実際にお見合いしたら、はたしてどうなるのか。プレー中に、森保監督から怒鳴られたりするのだろうか。森保監督は、あまり感情を露(あら)わにしないタイプに見えるのだが。

「怒るというよりも、厳しく言う感じですね。たとえばミスした場合でも、そのミスの質によります。積極的にトライしてのミスについては何も言われませんが、ビビッていたり、消極的だったりしたプレーでのミスは厳しく注意されます。

 基本的に(森保監督から)すごく怒られるようなことはないです。ハーフタイムに思い切り"喝"を入れられたのは、5年半で2回ぐらいです」

 森保監督が広島を率いて初めて、ハーフタイムに烈火のごとく怒りを見せたのは、2012年のアウェーのセレッソ大阪戦だったという。MF高萩洋次郎(現FC東京)のゴールで先制するも、その後はセレッソの猛攻に抗(あらが)う姿勢を見せず、同点に追いつかれて前半を終えた。そのとき、「戦っているのか!」と森保監督の雷が落ちた。そして、結果的に試合は4-1で勝利した。

「2回目は、2015年のアウェーのレッズ戦です。ゲームをレッズにコントロールされて、先制を許して0-1で前半を終えたんです。そうしたら、ハーフタイムに『おまえら、戦う気があるのか!』って(森保監督から)めちゃめちゃ怒鳴られました。

 やるべきことができていないうえ、戦えてもいなかったので、喝を入れられた。それで後半は、アオちゃん(青山敏弘)とタクマ(浅野拓磨/現シュツットガルト)のゴールで逆転勝ちしました」

 森保監督は一見、おとなしそうな風貌で、普段は滅多に怒ることがないだけに、ひとたび激昂したときは、その思いが選手たちの心に強く刺さるのだろう。喝を入れられた2試合は、ともに後半から選手たちのプレーが大きく変わって、いずれも勝利を得ている。

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