「桁違いの重責」。A代表と五輪を兼任する森保一監督の不安材料 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 Jリーグでの実績は十分とはいえ、言い換えれば森保監督の監督実績はそれがほぼすべて。広島での5年半を除けば、現在指揮を任されているU-21日本代表があるだけだ。

 その間の世界レベルでの国際経験といえば、2度のクラブワールドカップがあっただけ。その他、2007年U-20ワールドカップに出場したU-20日本代表にコーチとして加わった経験はあるが、監督ではなかった。託すミッションのレベルに照らせば、とても経験豊富な監督とは言い難い。

 もちろん、最初から経験豊富な監督など存在しない。日本サッカー協会の田嶋幸三会長が言うように、「ワールドカップ経験者」を日本代表監督の条件にしてしまえば、少なくとも日本人監督のなかでは、いつまで経っても岡田武史元監督しか選択肢がなくなってしまう(西野前監督が新たに選択肢に加わったが)。

 ならば、J1での実績を評価して森保監督の手腕に託すという考え方もわからないではない。

 また、ひとりの監督が両代表を兼任するメリットも当然ある。

 2006年ドイツ大会で指揮を執ったジーコ監督のころから、A代表と五輪代表との間には志向するサッカーの違いがしばしば起こり、五輪代表からA代表への選手の引き上げがスムーズに行なわれなくなった。ひとりの監督のもと、同じコンセプト、同じ戦術でふたつの代表チームが活動するほうが効率的であり、理想的だ。

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