「桁違いの重責」。A代表と五輪を兼任する森保一監督の不安材料 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 だとすれば、前回大会以上に「やはりワールドカップ(あるいは、それに準ずる大きな国際大会)を経験している監督が必要だ」という声が聞かれても不思議はない。ところが、そうした意見はあまり聞かれず、「西野監督で成功したのだから、次も日本人監督を」とばかりに、ポジティブな側面だけが都合よくピックアップされ、現在に至ってしまったように感じる。

 さて、そこで森保新監督である。

 サンフレッチェ広島の監督をおよそ5年半務め、その間に3度のJ1優勝を成し遂げた実績は申し分ない。かつてネルシーニョ監督(当時柏レイソル)やオズワルド・オリヴェイラ監督(当時鹿島アントラーズ)などが、J1での優勝実績を理由に日本代表監督に推す声があったことを考えれば、候補に挙げられて当然だろう。

 しかも、3度目の優勝を果たした2015年の広島は、結果だけでなく、内容的に見てもかなり強いチームに仕上げられていた。

 相手の守備網を意図的に広げてから間を突くポゼッションに加え、中盤でのボール奪取からのショートカウンター、あるいは1本のパスでDFラインの裏を取るダイレクトプレーなど、攻撃は非常に多彩。そんななかでも、コンビネーションが確立された主力ばかりに頼るのではなく、意識的に若手を引き上げる起用も見られた。J1が18クラブになって以降、史上最多となる勝ち点74を積み上げたことは偶然ではないだろう。

 その一方で、やはり不安要素は経験不足。とりわけ国際経験の乏しさである。

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