杉山氏が森保ジャパンに異議。日本サッカーのガラパゴス化が進む (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by JMPA

 会長と技術委員長がまずすべき手続きは、目指すサッカーを具体的かつ鮮明に公言することだ。「それを実践するには、世界広しといえども森保氏に勝る人材はいない」と断言するのであれば話は別だ。

 田嶋会長は森保氏について「日本人監督の中で実績はナンバーワン」と述べているとも聞く。しかし、森保氏が残した4年間で3回J1を制覇したという実績は、すべてサンフレッチェ広島時代のものだ。監督経験は広島と、去年の秋から就任している東京五輪を目指すチームに限られる。これをもって「経験豊富」と言うのは、内向きの発想だ。

 さらに違和感を覚えるのは、広島時代に実践したサッカーだ。西野ジャパンがロシアで披露したものとは方向性が全然違う。それとは真逆の、後方を大人数で固める5バックになりやすい、どちらかといえば守備的なサッカーに属する。オシムジャパン、ザックジャパン、アギーレジャパン、西野ジャパンより、加茂ジャパン後期、第1次岡田ジャパン、トルシエジャパン、ジーコジャパンに近い。

 サイドアタッカーが両サイドに各1人なので、深みのあるサイド攻撃を展開しにくい、高い位置でボールを支配しにくいサッカーだ。パスコースの少ないサッカー。Jリーグ(特にJ2)で流行しているガラパゴス化したサッカーといってもいい。

 田嶋会長が、このサッカーを評価しているのだとすれば、「ああいうサッカー」と呼び、賛辞を送った西野ジャパンのサッカーは何なのか。整合性が疑われる。両者に共通しているのは、監督が日本人だということしかない。

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