2018.07.20

日本サッカーの未来は明るくない。
悪しき「8年サイクル」から脱出へ

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by JMPA

 つまり、今大会の日本代表を総括する時、優秀な監督がチームを率いていなかったという問題を避けて通ることはできない。2カ月前に"選手とのコミュニケーションの問題"という不可解な理由で監督をすげ替えたのだから当然の結果だが、だからこそ、なぜそのような事態を招いたのか、という反省点をあらためて検証しなければいけない。

 たとえば8年前、日本が守備的サッカーでベスト16入りを果たしたW杯の後、当時の原博実技術委員長は「守るだけではそれ以上の結果は望めない。主体的にチャンスを多く作るサッカーを目指す」という理由で、優勝国スペインで次期監督候補数人と折衝した。残念ながら希望したスペイン人監督は招へいできなかったが、イタリア人の中では攻撃的サッカーを標榜していたアルベルト・ザッケローニと契約した。

 そしてブラジルW杯で結果を残せなかった後、大会を総括した原技術委員長は4年前に交渉していたハビエル・アギーレを新監督として招へい。当時は「欧州でプレーする選手が多いので、日本しか知らない日本人指導者は選択肢になかった。世界のトップレベルを知るクラブの監督か代表監督の中から選んだ」とした(原技術委員長)。

 ところがアギーレが八百長疑惑により解任され、その代役として緊急招へいされたのは、ヴァヒド・ハリルホジッチというアギーレとは異なる志向の指導者だった。おそらくそこが、今大会で露呈した監督問題の出発点といえるだろう。ハリルホジッチがアルジェリア代表を率いたブラジルW杯だけの印象によって、無理やり辻褄合わせをしたしっぺ返しを食らった格好だ。

 さらに、日本サッカー協会会長選挙によって田嶋幸三が新会長の椅子に座った後、ハリルホジッチを招へいした霜田正浩技術委員長(現レノファ山口監督)がその職を追われて、さらに事態を悪化させた。いつの間にか、世界を目指していたはずの日本サッカーの羅針盤は国内に向けられ、本番2カ月前、オールジャパンの名のもとに技術委員長だった西野朗が新監督の座に座り、ロシア大会を迎えることになった。

 8年前に日本サッカー協会が描いていた青写真は、何の検証もないまま完全に葬り去られることになった。つながっていたわずかな細い線は、その時点で完全に切れてしまった。

 そして現在、メディアでは次期監督候補として日本人の名前も挙がっている。信憑性のほどは定かではないが、少なくとも田嶋会長が日本人監督就任を匂わせるようなコメントをしているのを見るにつけ、意図的に世論形成を図っているようにも見える。