何度でも見直したいベルギー戦。
「後世に語り継ぐべき歴史的な試合」

  • photo by JMPA

倉敷 この時間帯からエデン・アザールが自在にボールを動かせる状態になっていった、その原因についても補足して下さい。

小澤 もともと日本はベルギーの4枚に対して3枚しかいませんでした。そうなると、柴崎岳と長谷部誠が相手の4人に対して守備をする必要があったわけですが、とくに2点リードしてからは、ケビン・デブライネがポジションを上げてきたので、常に自分たちの前に3人いる状況になりました。

 すると、アザールがボールを受けに下がった時、デブライネがそれと入れ替わって高い位置をとってきたので、長谷部も柴崎も下りてくるアザールについていけなくなってしまいました。それでアザールに自由を与えてしまったのだと思います。

先制ゴールを決めた原口元気先制ゴールを決めた原口元気中山 マルティネスはベルギー国内では批判されていた監督でしたが、そんな彼でさえプランBを用意していたということですね。しかも、フェライニを長友佑都のサイドに配置したという点からしても、その狙いがはっきり見て取れました。でも、小澤さんが指摘したように、日本のベンチには何も対応策がなかった。

 試合後、日本のDF陣は「あの時間帯がもっとも怖かった」と言っていましたが、そんな究極の混乱状態の中で選手の判断に任せるというのは博打以外の何物でもないと思います。

倉敷 そして69分、ヴェルトンゲンの折り返しとしか思えないゴールが偶発的に決まります。あの場面を振り返って下さい。

小澤 あそこは乾貴士のクリアからでしたが、川島永嗣のパンチングとポジショニングのミスが悔やまれますね。あのパンチングは最初両手でいこうとしていっていますが、はじめから片手で勢いよくパンチングしてボールを出した方がよかったし、シュートの場面のポジショニングもニアに寄りすぎたと思います。あの浮き玉の高さとヴェルトンゲンのポジションからして、ニアにヘディングで挿し込まれることはないですから。

中山 相手のラッキーはあったにせよ、日本のいくつかのミスが重なって失点してしまったということですよね。ただ、各選手のレベルを上げることも大事ですが、僕としては選手たちが持てる以上のものを出していた試合だけに、やはりそこは監督が采配によって状況を変えてあげられなかったことが、もっとも悔やまれる部分です。

 つまり、ああいうミスを呼び込んだのは戦況を見ながら何もできなかったベンチワークの問題だと思いますし、アンラッキーだったというひと言で終わらせてもいけない失点シーンだったと思います。

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