2018.07.17

ベルギー戦は最高のメインディッシュ。
勝敗とは別の「うまさ」があった

  • photo by JMPA

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.29

 4年に一度のフットボールの祭典、FIFAワールドカップロシア大会が閉幕した。この企画では、世界トップの魅力、そして観戦術を目利きたちが語り合います。

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。

 今回のテーマは、ロシアW杯での日本代表のベルギー戦について。惜しくも逆転負けとなったこの試合、どこに日本のよさがあって、どこが問題だったのか。ワールドフットボール通のトリデンテ(スペイン語で三又の槍の意)が語り合います。

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強豪ベルギーに対して、先制した日本だったが...倉敷 それでは最後の日本代表のゲーム、7月2日にロストフ・アリーナで行なわれた決勝トーナメント1回戦、ベルギー対日本の試合を振り返ります。試合前はポーランド戦の流れを受けて日本に対しては懐疑的な目もあったでしょうが、おふたりはどのような印象を持たれたゲームでしたか。

小澤 非常に良いゲームをしたというのが率直な感想ですね。あまり対戦相手のことを気にし過ぎることなく、それまで自分たちがやってきたことを出そうという姿勢が立ち上がりから見受けられました。攻撃では自分たちがボールを持った時に良いところが出ていましたし、守備では今大会初の3バックの相手に対して、前線は大迫勇也と香川真司の2枚で制限をかけながら、時おりそこに原口元気か乾貴士も加わって、3枚の同数がかりで前からプレッシングに行くシーンも見られました。

 このチームはボールを保持している局面での良さと、前線でフィルターをかけながら守備を行なってイニシアチブをとれるチームになっていましたから、そういった攻守の良さを存分に発揮できた試合になったと思います。

中山 僕の感想は、まさにこういう試合を見たかった、というひと言に尽きます。特にそれまで日本が戦った3試合を見ていて感じていたのが、他の試合との違いでした。他の試合ではスピード感、迫力、激しさといったワールドカップならではのレベルを感じることができましたが、日本の試合はどこかまだ親善試合の延長のような緩さがあって、スタジアムの雰囲気も緊張感が薄かったように感じられました。

 でも、このベルギー戦でようやく「これがワールドカップだ」という試合をしてくれた。しかも、僕が日本代表を取材した中でもベストマッチといえる試合をしてくれたのが、うれしかったですね。そこには、勝敗とは別のサッカーの面白さや魅力がいろいろ詰まっていて、キックオフから終了まで、本当にエキサイティングな90分だったと思います。この試合なら、観客もチケット代を安く感じられたのではないでしょうか。