セネガル戦では、本田圭佑の「スッキリ」が同点以上の価値だった (4ページ目)

  • photo by JMPA

小澤 スタートが相手のスローインだったので、この失点もセットプレーからと言うことができます。まず、原口と酒井宏樹がマネに対してチャレンジ&カバーの関係を作らず、間を空けてしまったことがひとつ。それと、そもそもスローインの時に長谷部が相手をマークし、酒井宏樹の後方にスライド対応で流れていったため、仕方なく柴崎までもが釣り出されて対応することになったことも問題でした。

 その辺の守備方法としては、仮に成熟したチームであればダブルボランチ2人が流れるよりも、右のセンターバックがスライドし、ボランチのひとりがセンターバックのポジションを埋めて対応すると思います。

 しかし、今回の日本代表はそうしたルール、戦術を積み上げる時間がなかったせいか、そこまでの約束事がなかったのでしょう。最後に逆サイドのサイドバックの選手にゴールを決められたという課題も含めて、日本の守備方法が細かく突き詰められてないことが露呈してしまったシーンだったと思います。

中山 僕も見ていてそう感じました。守備面の細かいことが整理できてないことが明らかになったシーンでしたね。その一方で、振り返ってみるとこのセネガル戦の後半の試合展開は、コロンビア戦とポーランド戦と違って明らかにテンポアップしたというか、攻守の切り替えが多い見応えのある45分間だったように思います。

 それまでは、他会場の試合と比べて日本戦のゲームスピードが遅く感じられていたのですが、ようやく日本戦でもW杯らしい試合を見ることができたと思っていただけに、その中で許したこの失点シーンこそが、日本の現状を如実に表していると思いました。

倉敷 その後日本は、72分に香川に代えて本田圭佑を、75分に原口に代えて岡崎慎司を投入し、78分に同点に追いつくシーンを迎えます。最後は本田がゴールを決めましたが、岡崎は彼らしいひたむきさでGKを慌てさせましたね。

小澤 2度倒れてGKをブロックしていました。ゴールを決めた本田もそうですが、やはり岡崎や本田が交代カードの優先順位の高い選手になっていましたので、ベンチから試合を見ながら自分たちで現在はどういう状況で何をしなければいけないのかを、しっかり理解できていたのだと思います。お互い消耗している試合の終盤に、岡崎のようにパスコースを消しながらプレッシャーをかけてくるFWが入ってきたら、絶対に相手は嫌でしょう。

 本田のゴールにしても、簡単なシュートではなかった。ノーマークとはいえ、相手のセンターバック2人がカバーリングでゴール前に立っていて、シュートコースががら空きだったというわけでもない中、冷静なシュートでネットを揺らしました。あれは、彼の経験のなせる業だというふうに見ていました。

倉敷 あのシーンの本田は常にシュートを狙える場所と角度を確保し続けていたのがよかった。乾の選んだパスコースも完璧で、レベルの高いゴールでした。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る