セネガル戦では、本田圭佑の「スッキリ」が
同点以上の価値だった

  • photo by JMPA

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.27

 4年に一度のフットボールの祭典、FIFAワールドカップがロシアで開催されている。この企画では、世界トップの魅力、そして観戦術を目利きたちが語り合います。

 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎――。

 今回のテーマは、ロシアW杯での日本代表のセネガル戦について。ゴールシーンや、失点の原因はどこにあったのかなど、ワールドフットボール通のトリデンテ(スペイン語で三又の槍の意)が分析します。
コロンビア戦はこちら>>

セネガル戦で日本の2点目を決めた本田圭佑セネガル戦で日本の2点目を決めた本田圭佑
倉敷
 今回は日本代表の第2戦、6月24日にエカテリンブルクで行なわれたセネガル戦のレビューです。日本のスタメンはコロンビア戦と同じ。立ち上がりからしばらくはルーズボールを拾われ押し込まれましたが、落ち着いて対応しましたね。小澤さんはどう見ていましたか?

小澤 まずセネガルは、初戦のポーランド戦ではマメ・ビラム・ディウフとエムバイェ・ニアンに2トップを組ませて4-4-2を採用していましたが、日本戦はアルフレッド・エンディアイェをアンカーにした4-1-4-1に変更してきました。これはおそらく、コロンビア戦の香川真司と大迫勇也がライン間、バイタルエリアで上手にボールを受けていたのを見て、シセ監督がそこを警戒して判断したのではないかと見ています。

 それと、日本側もビルドアップのところで両サイドバックがコロンビア戦後半のように高いポジションをとることによって、サディオ・マネとイスマイラ・サールの両サイドハーフを守備に引きずり込もうというような戦略が見えました。そこも、試合の流れが日本の優勢になった原因のひとつだったと思います。

倉敷 それだけに11分の失点は残念でした。

小澤 あの失点については、まずは川島永嗣のパンチング、そしてその前の原口元気のヘディングのクリアが悔やまれますね。それ以外にも、セネガルのニアンが意図的に昌子源のサイドでプレーしていたこと、長友佑都のサールの対応のところが気になりました。長友は少しサールとの距離を空けすぎていた部分があって、失点シーンの前から距離を詰められずにクロスを入れられたり、簡単にボールを収められたりするシーンがありました。

倉敷 中山さんも失点までの時間帯の印象をお願いします。

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