ロベカルやカシージャスに聞いた「日本がベスト8の壁を越える秘訣」 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 日本のサッカーに驚くとともに、多くの人が共通して抱いた感情が、日本の敗退を惜しむ気持ちだ。試合直後のインタビューで西野朗監督は「何が足りなかったのか......」と語ったというが、同じ疑問を持った人は世界にもいる。ロベルト・カルロスは続ける。

「後半、監督がもっとプレーに介入すべきだったと僕は思う。選手を落ち着かせ、ピッチの外から、今、何をすべきか知らせるべきだった。しかし、日本はそのタイミングを逃してしまった」

 元スペイン代表の守護神、イケル・カシージャスも日本の敗退を惜しんだひとりだ。

「日本は、そのサッカー史上最大のチャンスを逃してしまった。人、時、コンディション、勝てるためのすべての要素を、今回の日本は持っていたのに、それをうまく利用することができなかった。4年後も同じ条件が揃うかどうかはわからないだけに、今回チャンスを生かせなかったことは残念だ」

 そして日本の敗因をこう分析する。

「思うに、日本は恐怖心に負けてしまったのではないか。つまり、ベルギーにではなく自分たち自身に負けた。この弱点は今回、世界中に知れ渡ってしまい、次の対戦相手は必ずそこをついてくるだろう」

 日本の敗退を多くの海外メディアは「ハラキリ」と表現した。つまり、自滅してしまったということだ。やはり敗因は相手ではなく、日本のプレーのあり方にあったと見ているのだろう。

 日本は重要な場面で狡猾さや、いい意味での策を弄すことができなかった。正攻法の戦いは美しいが、それだけではW杯で勝つことはできない。もっとしたたかに。それがベスト8の壁を超える秘訣だろう。

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