「西野さんはカンで勝負する」。松原良香が語る恩師のマネジメント術 (4ページ目)

  • text by Sportiva 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 本田や岡崎慎司を入れるタイミングを含めて、相手を分析する力の違いは明らかだったと思います。

 そして、これを「勘」と言っていいのかどうかわかりませんが、ポーランド戦で先発6人を入れ替えたのには僕もビックリしました。

 ポーランド戦の日本はそれまでの2戦と明らかに違って、ボールの動かし方がよくありませんでした。選手を入れ替えたことでゲームが難しくなったと、西野さんも思っていたと思います。岡崎のケガというアクシデントがあり、ポーランドに先制され、さらにコロンビア対セネガルでコロンビアが先制と、そのたびにゲームプランも大きく変わっていった。例えば乾を入れたのは、点を奪いにいくというメッセージだと思います。

 でも終盤になって、たぶん西野さんは「もうポーランドは出てこないな」と、頭のなかで計算していて、ある時点でスパッと切り替えた。セネガルが決めるかもしれないという中で、本当に(一か八かの)勝負だったと思います。そこでチョイスしたのは香川でも本田でもなく、長谷部でした。

 どうなるかわからないなかで、その経験と対応力に賭けたのでしょう。4月26日に西野さんに会ったとき、「3バックでも4バックでも、フォーメーションにかかわらず長谷部を中心に考えている」と明言していました。それぐらい、長谷部への信頼は厚かった。

 ポーランド戦に途中出場した長谷部がみんなに伝えたのは、とにかく失点をしないこと、それからイエローカードをもらわないことだと聞きます。西野さんはドーハの悲劇をスカウティング担当として目の前で経験しています。アトランタ五輪のときは2勝1敗でも上にいけないという経験をしました。1点の重みをよくわかっている人ならではのメッセージだったと思います。

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