「西野さんはカンで勝負する」。松原良香が語る恩師のマネジメント術

  • text by Sportiva 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 U-23代表としてアトランタ五輪に出場した松原良香氏が、西野朗監督に初めて会ったのは、高校生のときだった。以来、つきあいは公私ともに30年近くにわたるという。そんな松原氏がロシアW杯で見た、勝負師・西野朗の真骨頂とは?

 ベルギー戦後、原口元気や乾貴士が、泣きながら「このチームが終わっちゃうのが悲しい」と言っているのを見ていて、アトランタ五輪のことを思い出しました。まったく同じだったんです。2勝1敗でも決勝トーナメントに行けなかったということより、それまでずっと積み重ねてきたチームが終わってしまうことが、悔しかったし、残念だった。

ロシアから帰国し、記者会見に臨んだ西野朗監督ロシアから帰国し、記者会見に臨んだ西野朗監督 今回、西野さんの監督としての功績のひとつが、選手たちにそういうチームへの愛情を芽生えさせたことだと思います。ベルギー戦の後半、相手が守備を4枚にしたとき、乾が手振りをまじえて「4枚になったぞ」と、みんなに伝えていました。ハリルホジッチ前監督のときには、他の選手はともかく、乾がそう言うことはなかったんじゃないかと思います。

 本田圭佑にしてもそうです。影響力の強い選手だけに、ある意味でハリルホジッチにとっては煙たい存在だったような気がします。そういう本田にもう一度こちら(チーム)のほうを向かせ、パフォーマンスを上げさせて、セットプレーなど彼の能力が求められる場面でうまく使っていた。本田もスーパーサブ的な役割を受け入れて、チームに貢献しました。

 ポーランド戦で川島永嗣をキャプテンにし、前日記者会見に同席させたのもそうでしたね。「お前のことを信頼しているぞ」というのを見せて、川島だけではなくチーム全体にメッセージを送っている。そうやって団結力をうまく引き出したと思います。今回は、ピッチでも選手がよく声を出しているのが印象的でした。

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