誤った4年間。西野Jの健闘を「結果オーライ」で片付けてはいけない (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Tsutomu Kishimoto/PICSPORT

 ところが、第3戦では大幅にメンバーが入れ替わった。

「自分としては(グループリーグを)突破したあとの今日のゲームを、チーム力を万全にするなかで戦いたかった。今までの2回(2002年大会、2010年大会での決勝トーナメント1回戦)とは違う感覚で臨ませたかった」

 西野監督はベルギー戦後にそう話していたが、つまりはグループリーグで力を出し尽くすのではなく、決勝トーナメントに余力を残したかったということだ。

 第3戦での選手の入れ替えを、指揮官の"英断"とする意見もある。ここで主力を休ませていなかったら、ベルギー戦があれほどの試合にはならなかったかもしれない。

 もちろん、当初からベスト8進出が目標だったのなら、大いに賛同する。しかし、1、2戦目はまったく同じメンバーで戦いながら、3戦目になって突然大きく入れ替えたあたりに、大会途中で欲が生まれたことを想像させる。

 その結果、当初の目標=決勝トーナメント進出達成が一時は遠ざかり、最後は"他力"に委ねられることになった。せっかく手にしたチャンスを無駄にする可能性が、決して小さくはない確率であったのだ。これでは、本末転倒である。

 4年という時間の大半を誤った指針のもとに費やし、最終手段の突貫工事も、実は目標がはっきりしていなかった。

 結果的にグループリーグを突破し、しかも決勝トーナメント1回戦では日本サッカー史に残るような名勝負を繰り広げる大団円に終わった今大会も、そこに少なからず結果オーライの感があることは否めない。

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