スペインの知将がベルギー戦を分析。「選手の相互理解は特筆に値した」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 52分には、香川がペナルティエリアの外側で相手のクリアをカット。背後に落とすと、それを受けた乾は巧みにコントロールし、強度の高いシュートをファーサイドに打ち込んでいる。このときに着目したいのが、大迫の動きだ。セカンドボールに反応し、ポジションをとっていた。チームとして次のプレーを意識し、高い集中を保っていた証拠だ」

 2点をリードした日本だが、マルアヌ・フェライニ、ナセル・シャドリの投入で苦しい状況に追い込まれる。69分には、ベルトンゲンにヘディングシュートを決められて同点。GK川島のパンチングは弱く、こぼれたボールをベルトンゲンがヘディングで折り返すが、GKの頭上を抜くラッキーゴールとなった。

「日本は試合のなかで、戦い方に波があった。この時間帯は押し込まれていた。73分にCKを拾われると、左サイドで仕掛けるアザールに大迫がマークにつくが、あっさりかわされてしまう。クロスに対して飛び込んできたフェライニにヘディングシュートを決められた。

 おそらく、ベルギーは3-3-3-1にシステムを変えていた。アクセル・ヴィッツェルをアンカー気味にし、デ・ブルイネとアザールとの距離を近づけていたのだ」

 日本はこの変化に対応することができなかった。

「日本は本田圭佑を投入し、好機をつくるが、一方で川島がセービングしていなければ失点していたシーンもあった。ただ、最後まで攻める姿勢を見せていた。

 アディショナルタイム、本田がGKクルトワを脅かすFKを蹴っている。しかし、それによって得た左CKのボールをクルトワにキャッチされた。クルトワのスローを受けたデ・ブルイネの行く手を、日本は誰もさえぎれなかった。相手にポジション的優位を与えてしまい、ルカクがスルーしたパスをシャドリに決められた」

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