スペインの知将がベルギー戦を分析。「選手の相互理解は特筆に値した」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 攻撃と守備における選手の相互理解と仕事の質の高さは、特筆に値した。第3戦のようにボールロストが多くなく、ボールを前に運べている。大迫勇也は刮目(かつもく)に値するポストワークを何度も見せたし、香川は献身的に背後のスペースをカバーし、長友佑都はシュートブロックする。攻守で選手たちが仕事をしていた」

 エチャリは準備と立ち上がりのよさを称賛した。

「しかし、20分を過ぎてから、ベルギーがペースを握った。単純に選手の技術と戦術の高さで、両サイドから深く侵入するような攻撃を繰り出す。いったんは日本に阻まれても、1トップのロメロ・ルカクがボールを呼び込み、時間とスペースを作ることで、その背後に入ったエデン・アザールらにアドバンテージを与えた。3-4-2-1いう布陣で、ベルギーの選手たちはいい感覚でプレーすることができていた。

 日本はセットプレーでの強度が弱く、しばしば窮地に陥っている。ケビン・デブルイネのキック精度が高かったこともあるが、エリア内で相手選手をつかみきれなかった。川島ともつれた際のバンサン・コンパニのマーキングは離れてしまっていた。

 日本にとって苦しい時間が続いたが、たとえば香川が中盤に落ちて、ディフェンスをサポートしたり、柴崎岳が中盤でカバーリングしたり、お互いが良好な関係を築いていた。コンビネーションで、ベルギーに対抗していた。

 前半はプレスで後ろがついていけず、間延びしたラインのギャップをベルギーに使われていたが、後半はコンパクトに保てるようになった。

 47分、乾貴士のいいディフェンスから、ボールを柴崎につなげ、柴崎は右サイドの原口元気を走らせた。原口はマークをしていたヤン・ベルトンゲンの裏を取り、GKティボー・クルトワと1対1になると、ファーポストに流し込んだ。守備から攻撃のトランジションでベルギーを上回ったのだ。

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