「南アW杯のゴールを守れない悔しさ」が、
今も川口能活のエネルギーに

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「う~ん......、難しい。そういうことは考えたことがなかった。ケガしていなかったら、『第3GK』と言われたらどうかなぁ......。選手としてのプライドもあるし、"第3"というのはすごく難しい。でも、『川口の力が必要だ。今は"第3GK"だけど、競争だ』と言ってくれたら、行くでしょうね」

 南アフリカW杯が終わってジュビロに戻った川口は、8月7日のモンテディオ山形戦で、ほぼ1年ぶりとなるリーグ戦出場を果たした。その後、2013年に9年間在籍したジュビロを退団。J2のFC岐阜を経て、現在はJ3のSC相模原でプレーしている。

 川口が現役を続ける理由はいくつかある。

 ひとつは、イングランドのポーツマスFCでプレーしていたとき、デーブ・ベイセントという44歳のGKが若手に指導しながら、彼自身も現役としてハツラツとしたプレーを見せていたことだ。その姿を見て「GKは何歳になってもやれる」ことを痛感し、現役生活を長く続けていくことの勇気をもらった。

 そしてもうひとつ、最大の理由は南アフリカW杯の経験にあるという。

「4回目のW杯、"第3GK"で"チームキャプテン"としての、ひとつの結果は出せた。でも、ゴールマウスを守れなかった。ピッチに立って、勝利を勝ち取ることができなかった。その悔しさが、選手を続けるためのエネルギーとなって、今も自分の中に残っているんです」

 昔も今も変わらない、サッカーへの情熱を燃やし続ける川口の姿がそこにあった。


日本代表入りは常に目指しているという川口日本代表入りは常に目指しているという川口

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