南アW杯のメンバー入りは絶望。そのとき突然、川口能活の携帯が鳴った (5ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 まあでも、現状を冷静に考えると、『そうだな』と思うところもありました。自分はリーグ戦にも出ていないし、実戦から離れて試合勘もない。戦列にやっと戻れるかどうかという状況。そういう中での代表招集は、異例と言えば異例ですからね。

 試合に出られる可能性は低いですが、最初から諦めるのではなく、試合に出るつもりで準備して、気持ちを切らさずにやっていくしかないと思いました」

南アフリカW杯のメンバー発表の際に配られたスポーツ紙の号外。photo by YUTAKA/AFLO SPORT南アフリカW杯のメンバー発表の際に配られたスポーツ紙の号外。photo by YUTAKA/AFLO SPORT 日本代表のメンバー23名が決まり、チームは埼玉で合宿に入った。

 川口は、すぐに岡田監督の部屋に呼ばれた。このときを含めて、川口は岡田監督に3回、部屋に呼ばれることになるのだが、これが最初だった。

「これまでケガなどがあって、なかなかおまえを(代表に)呼ぶことができなかった。こういう形(第3GK)で呼んだけど、チームキャプテンとしてやってほしい」

 最初、川口は"チームキャプテン"の意味が正確に把握できなかった。それが表情に出ていたのか、岡田監督は改めてこう言った。

「チームキャプテンとして、チームをまとめていってほしい」

 このとき、川口は自分が招集された理由を明確に理解することができた。

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