スペインの名伯楽が日本を称賛。
「ポーランド戦の好材料は岡崎」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 34分の同点ゴールはひとつの帰結だった。昌子、吉田麻也、長谷部、香川とボールがスムーズに回り、柴崎が左サイドを駆け上がった長友佑都に展開。長友がペナルティエリア内にボールを運んだところ、乾が入れ替わって、右足の巻くようなシュートをファーサイドに打ち込んだ。たくさんの選手が絡み、ボールを動かし、ポジションを動かしていた。すばらしいコンビネーションゴールだったといえる。

 後半も日本は優勢に戦っている。吉田麻也が安易にCKにしてしまったり、昌子がセネガルの強力フィジカルに手こずったり、長友の攻め上がりのタイミングが明らかに早すぎたり、気になる点はいくつかあった。しかし、選手は地力を見せている。

 特筆すべきは大迫だろう。この日、ヘディングシュートは弱く、決定機も空振りしている。しかしコンビネーションの高さを見せ、"もう1枚のMF"として香川と近い距離でプレーし、チームとしての厚みを増していた。チャンスメーカーとして、乾のクロスバーに当てるシュートを誘発したヒールパスも質が高かった」

 しかし、日本は追加点をものにできなかったことで、71分には再び逆転されてしまう。

「隙を突かれる形で、ペナルティエリア右までボールを運ばれる。これに柴崎が対峙するが、守備の強度が弱かった。相手を離し、フリーでクロスを折り返されてしまう。そして左の乾の帰陣がわずかに遅れていた。これで狙いすまされた一撃を決められてしまった。ペナルティエリアでの連続したミスは、失点に結びつく。

 しかし、日本はここから反撃に出る。本田圭佑、岡崎慎司を投入し、4-4-2に布陣を変えて、再びプレーが活発になった。岡崎は大迫とツートップを組み、巧みにスペースを与えている。また、試合終盤とは思えない力強さで柴崎がパーソナリティを見せた。バックラインでは昌子も高い位置でプレーし、積極的なフィードを送っている。

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