日本のW杯16強入りには、槙野智章らサブ組の「刺激」が欠かせない (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by JMPA

「うーん。それは出たいですけど、監督が決めることですし、状況をしっかり理解して、俺にしかできないことをやらなくちゃいけない。これまで積み上げてきたものがありますので、そこは理解してやらなくちゃいけないと思います」

「俺にしかできないこと」とは何だろう。ピッチ内だけでなく、ピッチの外にもあるということだろうか。

「そうですね。別に意識はしてないですけど、グラウンドの上もそうですし、グラウンドから離れたところもそうです。試合に出ているメンバーだけがメンバーじゃないし、(セネガル戦で出場がなく)練習を今日もやっているメンバーもそうですし。出ていないメンバーは、やはり出たいという気持ちを持っています。それは監督、スタッフをはじめ、みんな見ている。練習の姿や態度を見せて、出ているメンバーに対しても刺激を与えないといけないし、それが選ばれた23人だと思うし......」

 ここまでの2試合、先発11人と途中出場の本田圭佑、岡崎慎司は同じ顔ぶれだ。これに加えてコロンビア戦では山口蛍、セネガル戦では宇佐美貴史が途中出場している。ディフェンダーの槙野には、そう簡単に出場機会が訪れるとは思えない。

 W杯直前に行なわれたスイス戦の先発メンバーのうち、ここまで出場がないのは槙野を含めて3人。他の2人、大島僚太と酒井高徳以上に、本大会でも最終ラインのひとりとして起用される可能性が高いと見られていただけに、悔しさはひとしおのはずだ。

 西野ジャパンが発足して代表チーム入りした森保一コーチから、10年以上前に聞いた話を思い出した。当時、U-19日本代表でなかなか試合に出られなくなっていた槙野について、森保コーチは「槙野だから乗り越えられると思ってね」と語っていた。強いメンタルに絶対の信頼を置いていることが伝わってきた。

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