スペインの戦術家が日本にブラボー。「次戦への改善点」も明確に示す (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 前半37分、長谷部がファルカオと接触したプレーがファウルを取られ、そのFKでファン・キンテーロに壁の下を通され、ニアサイドに流し込まれた。

「長谷部のプレーはファウルではなかった。ただ、日本が押し込まれていたのは間違いない。失点は必然で、チームとしてのバランスが崩れていた。

 香川のパスを乾貴士がシュートまで持ち込んだ決定機があったように、むしろ攻撃では形を作っている。右サイドでは原口が可能性を感じさせたし、左サイドでは長友佑都の活発な攻め上がりが見られた。そして前線の大迫は敵ディフェンスをプレスし、ボールを奪い、シュートまでいくなど、アクティブだった。

 どうにかイニシアチブを取り返そうとして、攻撃にいくのは悪くないだろう。

 しかし日本の問題は、攻撃に比重をかけ、守備を疎(おろそ)かにしてしまう点にある。数的には足りていないわけではない。ただ、それよりも重要なポジション的優位を忘れてしまうのだ。攻撃と守備のバランスにおけるポジション的優位性。相手は10人なのだから、数的優位性が問題ではないのがわかるだろう。ポジション的優位性をもっと突き詰めるべきだ」

 エチャリはそう苦言を呈したが、後半の戦い方には及第点を与えている。

「後半、日本のプレーリズムは一気に上がった。それを司(つかさど)っていたのは、やはり長谷部だった。プレー判断が極めていい。彼が、ボランチでコンビを組んだ柴崎とトップ下の香川を近い位置でプレーさせることで、コロンビアを自陣に押し込めている。

 苦境に追い込まれたコロンビアは、ハメス・ロドリゲスを投入してもうまくいかず、FWカルロス・バッカを投入。2トップ(4-4-1から4-3-2)に変更している。中盤での争いから手を引き、前線にパワーを投じて、どうにか勝ちに出た。

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