中田英寿と本田圭佑。2人は
中村俊輔にとって、どんな存在だったのか

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 だけど今思えば、あのときの、自分の(置かれた)状況や代表のことを考えると、もっと前に挑戦するのもありだったんじゃないかって思う。実際、スペインに行って刺激になった。『スペインは強い』『トップ下でやりたいな』って思った。試合には出られなかったけど、エスパニョールに行った後悔はまったくなかったからね」

 しかし結局、エスパニョールで試合に出場できない状況を憂慮して2010年、中村は横浜F・マリノスに復帰した。

 ところが、実戦から離れていた影響か、中村のコンディションはなかなか上がってこなかった。W杯本番を2カ月後に控えた4月7日、中村を中心とする日本代表も、セルビア代表の「二軍」と言われた相手に0-3と完敗を喫してしまった。

 そして、中村がチーム内における変化の"風"を感じたのは、2010年5月24日、W杯本番前の壮行試合、日韓戦のあとだった。日本は韓国のフィジカルの強さに圧倒されて、0-2と完敗。スタジアムに失望の空気が広がった。

 試合後、中村は岡田監督から声をかけられた。指揮官が冷めた表情で発したひと言を受けて、中村は悟ったという。

「俺、終わったな......」

(つづく)

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