コロンビア参謀のカンビアッソは「謎だらけジャパン」に何を感じたか

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 ワールドカップ前最後のテストマッチとなったパラグアイ戦のハーフタイム、ふと記者席の後方を見ると、見覚えのある人物がいた。

 スキンヘッドがトレードマークのエステバン・カンビアッソ。長友佑都のインテル時代の同僚で、元アルゼンチン代表のレジェンドだ。

ゴールを決めて喜びを爆発させる乾貴士(中央)ゴールを決めて喜びを爆発させる乾貴士(中央) 会場を訪れた理由は、旧友に会いに来た......わけではなく、日本代表の視察である。実は、カンビアッソは同胞でユース代表時代の恩師であるホセ・ペケルマン監督に請われ、5月27日にコロンビア代表のコーチに就任していたのだ。

 ワールドカップ開幕まであと2日。各国ともスカウティング、情報戦に余念がない。

 ワールドカップ直前のテストマッチは最終チェックの場として重要だが、一方で、ライバル国をスカウティングする場としても貴重だ。特に、日本は4月に監督を解任し、新たに西野朗監督が就任したばかり。コロンビアにとって、日本は「謎多きチーム」だろう。

 5月30日のガーナ戦、6月8日のスイス戦、6月12日のパラグアイ戦と3試合を戦い、試したシステムは3-4-2-1、3-4-1-2、4-4-2、4-2-3-1の4つ。全23人を起用したばかりか、スイス戦とパラグアイ戦では先発11人を総入れ替えした(酒井高徳はポジション変更)。

 それは、情報戦を仕掛けたいというより、多くの選手、システムを試し、可能性を少しでも広げたいという理由からだが、結果として「謎多きチーム」をさらに謎めかしているのは確かだろう。

 パラグアイ戦後の会見で、西野監督に「この3試合でいろいろと試したが、コロンビアのコーチングスタッフが視察に来ているなかで、試すことと隠すことのバランスをどう考えているか」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「今日までの3試合で、常にテストのためシステムもキャスティングも変えています。スイス戦からガラッと変わったメンバーを見て、(彼らが)どう捉えたか。リスタートでも、まったくやっていないところは当然隠したい。コロンビアとすれば、捉えづらい日本を見ているのではないかと思います。

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