スペインの知将がスイス戦をほめる。どこに「かすかな光」が見えたのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki Photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 日本は中盤で勝ち取ったスペースを活用し、イニシアチブをとっている。その点、長谷部は隙を見逃していない。彼が中盤に戻って、強固なブロックができた。右サイドの原口元気は運動能力が高く、アップダウンし、サイドをカバー。トップ下に入った本田圭佑は、サイドでプレーするときよりも可能性を感じさせ、幅と深さを作り出せるし、最もコンビネーションを創出していた。

 日本は敵ゴール前でのシーンを数多く作っている。長友佑都は左サイドを攻め上がり、ファーポストの大迫勇也へクロス。長谷部はロングシュートを打ち、宇佐美貴史が左サイドから侵入し、大島僚太が左足でシュート、さらに本田も好ポジションからゴールを狙っている。

 もっとも、ガーナ戦もそうだったが、どのシュートも強度も精度も足りない」

 前半40分、日本は吉田麻也がPKを与え、先制点を奪われた。

「とはいえ、あれはPKではなかった。スイスの選手が突っ込んで、吉田の足に接触した瞬間、自ら倒れている。ダイブに近く、厳しい判定だった。

 日本は失点直後も、厳しいプレスで敵陣に押し込み、奪ったボールでゴールに迫っている。長友が左から攻め、長谷部が右サイドに展開し、原口、酒井高徳で右から崩してクロスを上げ、それをさらに長友が拾っている。一連の攻撃は見事だった」

 エチャリはこのように戦術レベルについて高い評価を与えつつも、後半に入って「攻め急ぎが見られた」と言う。

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