2018.06.12

阪口夢穂のケガで窮地の
なでしこジャパンに「もう1人の阪口」が出現

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 早々に主導権を握った日本が圧倒的に攻め込む時間帯が続く。まずは、右サイドから高木&中島がワンタッチプレーで様子を伺うと、宇津木から中里への縦パスで鋭くスペースを突くなど、ニュージーランド守備陣に揺さぶりをかけていく。そのなかで先制点は思いのほか早めの17分、「ラッキーでした」と笑う田中のGKの頭上を抜くゴールによってもたらされた。

 しかし、ホッと胸をなでおろした次の瞬間、CKからあっという間に同点弾を献上する。失点はこの場面のみだが、山下が相手3枚に囲まれたところから、こぼれ球を決められてしまった。相手は1トップ残しのカウンターと、セットプレーしか攻撃の手立てがないなかで、この2つをケアできないのではワールドカップで勝負にならない。

「もったいなかった......」(熊谷)という以前に、この程度の不必要な失点を避けるだけの地力はもう備わっているはずで、あってはならない失点だった。

 相手が守備慣れしないうちに勝負をつけたのが田中だった。4月のアジアカップで結果が出せず、徐々に出場機会が失われていった悔しさが薄らぐことはない。2点目は隅田からのパスをしっかりと足元に収め、DFを見極めて落ち着いてゴールに沈めた。3点目は宇津木からのフィードを自らの動きで呼び込んだ。背後からのボールに加えてDFも抱えていたが、それでも「思っていた通りのピンポイントのナイスボールだった」と宇津木のパスを大絶賛する田中。ヘディングで決めたゴールでハットトリックを達成した。