U-21代表も直面した「止める、蹴る」のレベルという永遠のテーマ (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AFLO

 控えの選手が果たした役割も大きかった。第2戦のポルトガル戦では、小川航基(磐田)に代わって先発した田川享介(鳥栖)が同点ゴールを奪い、途中出場の上田綺世(あやせ/法政大)が2ゴールを奪って逆転勝利に大きく貢献した。

「(小川、田川、上田の)3人は競争の中で練習に取り組んでくれて、3人ともそれをピッチで表現してくれた。いい競争の中で3人がレベルアップしてくれたらと思っています」と、横内昭展監督代行はチーム内競争を歓迎する。

 上田の1点目をアシストした遠藤渓太(横浜FM)や2点目をアシストした三笘(みとま)薫(筑波大)も、同じくポルトガル戦で途中出場した選手だった。特に三笘は、続くカナダ戦でもゴールを奪い、トーゴ戦でもアシストするなど、強い印象を残している。こうした競争は今後のチームの成長において重要な役割を果たすことになるだろう。

 チームが狙いとする、俊敏性と技術を活かし、細かいパスを繋いで局面を突破する攻撃も一定の成果を見せた。今大会2ゴールを奪った三好康児(札幌)やトーゴ戦でその三好のゴールをアシストした三笘を中心とした、狭いエリアでボールを扱える選手による攻撃は、特にカナダ戦で相手の脅威となっていた。

 ただ、脅威にはなりながらも、あまり結果に繋がらなかったのも事実だ。今大会、日本が奪った6つのゴールのうち、引いた相手を崩したゴールは、三好→田川によるポルトガル戦の1点目と、三笘→三好によるトーゴ戦の決勝点の2ゴールのみ。残る4ゴールはショートカウンター、2つのカウンター、相手のロングボール処理ミスから生まれた。

 もちろん現代サッカーにおいてこうしたゴールが生まれやすい傾向は日本に限ったことではなく、ブラジルW杯でも流れの中から生まれたものは3割程度で、残りはカウンターとセットプレーからだった。流れの中からのゴールが少なかったこと自体は問題ではない。

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