W杯直前で完敗を重ねる西野ジャパンに「火事場の馬鹿力」はあるのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 34歳の長谷部も本田ともどもスタメン候補のようだが、こちらにも無理を感じる。アギーレ時代に4-3-3と3-4-3の可変式の要となるアンカー役を演じていた長谷部だが、西野式4-2-3-1では、最終ライン付近まで降りてくることはない。それより高い位置でプレーする。

 その分だけ、ボールロストの可能性が増す。ノーミスが普通のポジションにあって、長谷部は何かをしでかしそうな危うさを漂わせている。この日、大島と交代で出場を果たした柴崎岳を長谷部の代わりに先発で起用すべきではないか。

 センターバックの吉田麻也、槙野智章もベテランの割に危なっかしいプレーをする。後半、投入された香川真司もそうだが、経験値を評価され、そのプライオリティで選出された選手が、経験値を発揮しそうもないところに、西野ジャパンの弱みを見る。

 そしてもうひとつ、日本の弱みを挙げるならば、両サイドだ。この日、右ウイングで先発した原口元気の適性は左ではないのか。左ウイングで先発したのは宇佐美貴史。彼に代わって途中からピッチに入った乾貴士も適性は左だ。

 メンバー23人の中で、右に適性がある選手はといえば本田ぐらいだ。浅野拓磨、久保裕也、さらに言えば伊東純也を23人から外した挙げ句、本田をトップ下で起用すれば、右に適性がある選手はいなくなる。そこに西野監督は原口を置いているわけだが、彼に大きな期待を寄せることは難しい。

「原口、宇佐美」なら、「乾、本田(仕方なく)」を左右に配した方がベター。原口と宇佐美には、サイドバックと協力してサイドを崩そうという協調性の高いプレーが見られないのだ。

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