ハリルの「冷遇」を乗り越えた武藤嘉紀。招集外でもW杯と言い続けた (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Takashi Aoyama/Getty Images

「決めるのは監督だから」と言いながら、W杯ロシア大会を目指してやってきたこの3年間、その目標を見失うことはなかった。どれだけ呼ばれなくても「目標はW杯」と言い続けた。だからこそ、今回は念願かなっての代表招集だった。

「やっぱりつらい思いもしました。そこで耐えて、最後、すべてをぶつけられた(8得点を挙げた)のが、こういう結果につながったと思います。でも、まだ何も成し遂げていないし、メンバーに選ばれてもない。最後まで集中してW杯行きのチケットを獲って、それでも満足しないでW杯で結果を残すことがすべて。大舞台で結果を出したいと思います」

 西野朗監督になったことで、チームの変化も感じている。

「前とは違いますよね。すごく楽しんで、かつ真剣に取り組めている。ムダに力も入らないし、集中して高い出力でプレーもできている。そういうのってすごく重要で、合宿は10日間あるから、ずっとピリピリしていても......。試合ですべてを出さないといけないので、だからこそ練習の雰囲気は重要で、いまはいい雰囲気だと思う」

 サッカーそのものも変わりそうだ。ミニゲームを行なっても、カウンター的なプレーに終始するのではなく、コーチの「間で受けろ」という指示が聞こえてくる。できるだけコンタクトを避けて、短くてもパスを繋いでいくという意図が感じられる。

「まだ戦術はどうこう言えないけど、フォワードはドリブルよりも、簡単にはたいて、もう一度入っていくほうが得点を意識できるし、フォワードらしい。(守備の負担もあるが)まずはチームのために走らないと。チームのために、自分の力を出し切ってワンチャンスをものにする集中力が大事だと思う」

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