長谷部誠のバックアップにオススメ。FC東京・橋本拳人の心が整った (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 例えば第10節、サンフレッチェ広島との首位攻防戦。後半、攻撃に出た相手に対し、橋本は冷静に対処している。右サイドと連係しながらの守備でボールを奪い返すと、シンプルにフリーだったMF高萩洋次郎にパス。これが、FWディエゴ・オリヴェイラの一発につながった。

 今季のリーグ戦、第12節(5月2日)まで橋本の得点は0。シュートはたった2本だった。それも、撃ち合いになった名古屋グランパス戦の2本だけ(この試合は相手ボールをインターセプトし、左サイドを攻め上がって、FW永井謙佑の得点をアシストした)。

 素人目には、あまり目立っていないのかもしれない。しかし守備という土台を作っているからこそ、チームが勝ち点を稼いでいるのだ。

好調FC東京の原動力となっている橋本拳人好調FC東京の原動力となっている橋本拳人「チームが好成績を収めているボランチを評価すべし」

 スペインのクラブの強化では、こんな言い回しがある。ボランチは、ボランチ本人のシュート数やスプリント回数や走行距離やインターセプト数ではなく、チームが機能しているか。その一点にかかってくる。

 今シーズン、第4節に橋本が先発に定着して以来、FC東京は(第13節まで)8勝1分1敗という好成績を収めている。周りの選手を補うポジションを取り、時間や空間を与え、輝かせる。それはまさに、代表で長谷部が極めたプレーと言えるだろう。

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