なでしこ、華麗なサッカーで中国を粉砕。優勝かけ豪州とガチンコ勝負 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 最初のチャレンジは8分。長谷川の左サイドからのパスを前線で受けようと、有吉が中を抜いて上がってきた。大外からのビルドアップは頻繁に目にするが、中抜きとは珍しい。

 オーストラリア戦はベンチで「中を切られて外に追いやられている」(有吉)と感じながら見ていた。そこからアイデアのひとつとして浮かんだのが、あえて行なう"中"でのプレーだった。

「外で受けても起点になるけど、自分が中を取って唯(長谷川)が外で受けることで、リズムが出るならそれもアリだと思った」(有吉)

 そして、それは長谷川の得意なプレーでもあるのだ。

 16分には隅田からのワンタッチパスに反応して、ペナルティエリア内に走り込むなど、有吉のチャレンジの数々は、中国守備陣を大いに惑わせていた。

 多くの決定機を実らせることができなかったベトナム戦から、勝ちきれなかった韓国、オーストラリア戦を経て、準決勝で初めて日本らしい90分間の試合運びをした。攻め込まれる時間があってもいい。1失点はしたものの、今の日本にはしのぐ力が備わっている。

 特筆すべきは、ベストメンバーと捉えられているオーストラリア戦から5人を入れ替えた準決勝で、見事な試合運びをやってのけたことだ。ボランチは宇津木と隅田という初顔合わせ。有吉は左サイドバック、清水梨紗(日テレ・ベレーザ)は右サイドバックに、センターバックには三宅史織(INAC神戸)が抜擢された。GKも池田咲紀子(浦和レッズ)に代わり、2トップには岩渕と増矢理花(INAC神戸)。

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